しあわせポン

小さな良いこと、おすそわけ

女性への未練を3時間で断ち切る方法

女性に対する未練を捨てられなかった男がいます。この男が、ある本を読んで9割がた未練がなくなったと、晴れ晴れした顔で言うので、私も読んでみました。

その本とは、加藤秀視さんの「自分を愛する技術」です。

男の名前を仮に、S君としておきます。S君は私の友人なので、仮名にさせてください。S君が忘れられなかった女は、いわゆる夜の蝶、キャバクラ嬢です。S君はもともとキャバクラに行くようなタイプではありませんでした。

ところがある日、取引先の人と偶然行ったキャバクラが、ものすごく楽しかったといいます。女性はかわいく、トークも上手い。そして、自分に対してだけ笑顔が違う(ような気がした)。ただ、S君は、まあ相手も商売だからと、最初は気にも留めていなかったようです。

キャバクラ嬢のやり方

それから1週間後、女の子からS君の携帯に電話がありました。この前の来店のお礼と、今度、食事でもどうですか、と誘われたそうです。いわゆる同伴ですね。S君は、これも商売上のトークだと理解しつつも、興味半分、応じることにしました。

ここからは、相手のペースです。お店に通い始め、適度にデートに誘われたりして、あれよあれよという間に良いお客さんです。もちろんブランドもののバッグも買ってあげましたよ。S君は、最初のうちは気前がいいところを見せていましたが、さすがに回数が増えると、お金も大変となり、次第に女の子からの誘いを渋るようになりました。

するとどうでしょう。女の子は、急に冷たくなったそうです。デートもしてくれなくなりました。S君は動揺し、またお店に通い出しました。泥沼ですね。よくある話です。キャバクラあるあるです。

S君のすごいところは、そこから生還したことです。こんなことを続けていてはダメだと、必死になって、その女の子との連絡を、自ら断ちました。相手のメールアドレスも消してしまったそうです。

思いが怒りに変わるとき

でも、ここからが地獄でした。自ら連絡を絶ったのに、女の子から連絡がないかないかと、一日に何度も自分の携帯をチェックする始末(自分の番号とアドレスは変えてなかったので...)。そして、連絡がなければないほど、女性への思いが怒りに変わっていきました。あいつは、やっぱり俺のこと騙しやがったのか、天誅くだしたる〜と、激しい怒りがふつふつと沸いてきます。

そうかと思えば、しばらくすると、相手のことをやっぱめっちゃ好きやねん〜と感じたりする。怒りと好きが振り子のように繰り返される。完全に心のバランスを崩してしまいました。そのころのS君は、私から見てもヤバかったです。

S君は、それでも結構、前向きだったんですよ。騙されたのは自分だし、相手のことも好きだったし、とにかく許そう、許そう、としました。許すのが大事と、いろいろな本に書いてありますからね。でも、ふとした瞬間にぶり返す。未練の無限連鎖。

自分を愛する技術

S君は勉強家なので、いろんな本を読みました。心理関係の本です。でもなかなか、未練は消えない。その中で、出会ったのが自分を愛する技術」。本屋さんで山積みになっていたので、何気なく手にとったそうです。

その本に書かれていたこと。

家庭、学校、社会。私達はあらゆるところで数々の想念を刷り込まれる。『見えない誰かや何か』によって創られた都合のいい幻想を刷り込まれていくんだ。

これは、いろいろな本に書かれていて、すでにS君も知っていたことです。むしろ、手あかがついていると言える。しかし、今回は何かが違いました。

今もまだ多くの人がこの『純粋性』の概念を知らぬまま、怖れのエネルギーに支配されて生きている。怖れがベースにあるので、様々な『幻想の想念』に囚われ、問題や苦しみを抱えている。虐待や殺人、戦争なんてものはその最たるものだね。

『純粋性』というのは、ありのままの自分ということです。S君はこの一節を読んで、「怖れ」という言葉と、先ほどの「想念」という言葉が、キーワードとしてビビッとつながる感覚があったそうです。

キャバクラの女の子に対する怒り。これは本当は、女の子への怒りではなくて、自分への怒りなんじゃないか。女の子に騙されたことに腹が立っているのではなく、「キャバクラ嬢にのめり込んで騙された情けない男」になってしまうことを怖れていただけじゃないか。

怒りの対象は、本当は「騙した相手」じゃなくて、「情けない自分」。自分への怒りを相手に転嫁していただけだって気がつきました。

だって、元々相手は商売だって、わかってたんですから。オオカミに、おまえは何で子羊を食べちゃうの? って、聞いても意味がないのと同じ。

だって、オオカミなんだもの。近づく方が悪いです。彼女は仕事をしたまで。

かっこ悪いのも気のせいさ

ここまで腑に落ちれば、あとはもう少し。

情けない男の反対は、キャバクラ嬢を手玉にとる男。そんな男でいられたら、確かに格好いいよね。でも、そんなの結局は、世間が作ったイメージ。それも特定の男たちの中だけで通用するダメダメなイメージ。いわゆる想念、想念、幻想の想念。

だったら自分は関係ないじゃない。キャバ嬢に入れあげちゃったのって、かっこ悪いけど、だから何だっていうの? 俺のことなんか、別に世間の人は気にも留めていないでしょ。だったら、気にする必要ないや。

と、こんな風に考えられるようになったそうです。

なんにせよ、最大のポイントはキミが愛する人に接するように、自分自身にも接する、ということだ。

相手への「怒り」は、自分のプライドを壊されることへの「怖れ」から生まれたもの。これが理解できたとき、S君は、スーッと気持ちが晴れていったとか。こうして自分を受け入れられ、自分のことを愛せるようになったからでしょう。最近のS君は、とても自信を取り戻したように見えます。

最初にS君がこの本を読むのにかかった時間は、だいたい3時間。

いまでも、ほんのちょっとだけ未練がぶり返しそうになると、この本を手にとって読み返しているそうです。